3月坂戸市議会定例会(令和7年2月17日)において市長が表明した、まちづくりの方向性と施策についてお知らせします。
おはようございます。
昨年、4月の市長選挙において市民の皆様から御信任をいただき、令和7年度は市長4期目として最初の通年予算編成となります。本定例会の開会に当たり、私の市政運営における基本的な考え方と、令和7年度当初予算案をはじめとする、市政の重要な施策の内容を申し上げます。議員の皆様をはじめ、広く市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
昨年は国内の政局に大きな動きがありました。9月に自民党総裁選が執り行われ、決選投票の結果、石破氏が新総裁に選出され、翌10月には内閣発足、衆議院の解散、それに伴う総選挙と矢継ぎ早に進められました。
総選挙では、厳しい経済情勢が続いている中、政治資金問題などが争点となり、既存政権に対する国民の評価は厳しく、結果、与党は大きく議席を減らし、自民公明の連立政権は30年ぶりとなる少数与党となりました。少数与党においては、野党との連携が必要となり、国の施策の見通しが立てにくい状況であることから、引き続き国会の動向を注視してまいります。また、石破内閣は昨年11月に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を閣議決定いたしました。
本経済対策は、「日本経済・地方経済の成長」、「物価高の克服」、「国民の安心・安全の確保」の3本の柱で構成されております。本市におきましても、市民の皆様が安心して生活できるよう、今後も国の施策に適切に対応するとともに、引き続き本市独自の施策を講じてまいります。
ここで、本市における令和6年度の主な施策・事業を振り返ってまいります。
はじめに、私が最も力を入れております、子育て・教育関連の施策につきましては、こども医療費の支給対象児童の年齢を、昨年10月より15歳の年度末から18歳の年度末までに拡大することで、子育て世帯の負担軽減を図りました。また、母子保健と児童福祉の支援体制を更に強化するため、こども家庭センターを新たに開設し、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもへの一体的な相談支援体制を整備いたしました。さらに、こどもが病気のときに一時的に保育を行う病児保育について、これまで保護者が一部負担していた利用料を完全無償化いたしました。
教育分野におきましては、公立小・中学校の給食費無償化を引き続き実施し、私立学校、特別支援学校等に在学している児童生徒にも学校給食費相当額を助成いたしました。また、小・中学校の水泳授業において、水の事故からこどもの命を守るために、天候や気温に左右されない民間の水泳施設を活用し、専門スタッフによる水泳指導を実施いたしました。さらに、こどもたちへの安全対策として、自転車乗車用ヘルメットの貸与対象を小学生まで拡大し、市内在住の全ての小・中学生に貸与いたしました。そのほか、小中学校のトイレを計画的に改修するとともに、全小・中学校で、冬場でも快適に洋式トイレを利用できるよう、便座シートを設置いたしました。
次に、物価高騰対策の取組につきましては、農業資材等の価格上昇の影響を受けている生産者に対し、種もみや肥料の購入等に際して、補助金を交付いたしました。また、物価高騰の影響を受けていた市内事業者と消費者を支援するため、通算で3回目となるキャッシュレス決済ポイント還元キャンペーンを実施いたしました。
次に、環境施策につきましては、カーボンニュートラルの実現に向け、省エネ家電の購入費補助において、エネルギー消費効率の高いエアコンを補助対象に追加いたしました。
次に、健康施策におきましては、予防接種法に基づく定期予防接種を実施し、感染症予防等を図ったほか、昨年度から50歳以上の方の帯状疱疹発症抑制及び重症化予防を目的に、ワクチン接種費用の一部補助を行ってまいりましたが、今年度は新たに18歳以上で帯状疱疹に罹患するリスクの高い方も加えて実施いたしました。また、感染症対策として令和2年度から開始し、県内で唯一である、中学生以下のこども及び65歳以上の高齢者を対象とした、インフルエンザワクチン接種費用の無償化を行いました。今年度から利用方法を見直し、従来の高齢者に加え、こどもたちについても、指定医療機関で接種を受けた場合には窓口払いを不要とし、家庭の経済的負担を軽減することで、さらに接種しやすい環境を整備いたしました。
次に、住宅環境整備の取組につきましては、市内において自宅を改修して親・こどもが一緒に住む多世代同居に対する補助に加え、親元近くに家を購入する多世代近居に対する補助を令和5年度から継続して実施したことで、この2か年において134名の方に、本市に転入いただいたところであります。
次に、若者支援の取組につきましては、坂戸市に定住する就労者を対象に、在学時に借り入れた奨学金返還金額の2分の1、最大年10万円の補助を実施いたしました。
次に、文化財保護の取組につきましては、伝統芸能の普及や次世代への継承を目的として、昨年11月に第2回坂戸のまつりを8年ぶりに開催いたしました。
次に、市民サービス向上の取組につきましては、大切な家族を亡くされたご遺族の負担軽減のために、市役所での相談や手続きを1か所で行うことができるよう設置しているお悔やみ窓口について、多くの利用者から、感謝の言葉をいただいているところであります。
これら各種事業が順調に進められたことについて、議員の皆様と市民の皆様方からの格別なる御理解と御協力を賜りましたことについて、心から感謝を申し上げる次第であります。
私は、市長就任以来、一貫して市民はどう感じているか、どう考えているかといった市民目線を基本姿勢として、市政運営に取り組んでまいりました。そして、時代の変化や行政課題を的確に見極め対応した結果、各種事業が確実に実を結び、市民の負託に応えられたと自負をしております。
特に、近年の自然災害や感染症の流行といった重大な局面では、適切な判断を遅滞なく行い、実行に移すことが極めて重要であります。先行き不透明な時代において、私が持つ「決断力」と「実行力」が本市や市民のためになるものと確信しているところでございます。また、常々申し上げておりますが、私はこどもが大好きであります。「子は宝」の考えのもと、これまで「こどもを大切にするまち」を目指して、子育て支援を積極的に進めてまいりましたが、その施策が結実してきたと強く感じております。
今後につきましても、子育て支援を継続していくことに加え、特に、障害者や高齢者、そして、その人たちを支えている家族が様々な困難を抱えていることを改めて強く実感しておりますので、それらの方々に対して、これまで以上に積極的に支援策を実施していくことで、「すべての人にやさしいまち」の実現を目指し、全力で取り組んでまいります。また、令和7年度につきましても、「第7次坂戸市総合計画」で定めた、本市の目指すべき将来像である『住みつづけたいまち 子育てしたいまち さかど』の実現に向けて、本市が目指すべき方向性である5つの「まちづくりの基本方向」に基づいた施策のもと、各種事業を展開することで市政運営に全力で取り組んでまいります。
それでは、「まちづくりの基本方向」ごとに、関連するそれぞれの施策・事業の概要を申し上げます。
安心して子育てができ、みんなが活躍できるまち
はじめに、一つ目のまちづくりの基本方向である、「安心して子育てができ、みんなが活躍できるまち」についてであります。
子育て支援につきましては、本年度開設したこども家庭センターを中心に、引き続き、全ての妊産婦、子育て世帯、こどもへ一体的に相談支援を実施いたします。また、家事や子育て等に対して過度に不安や負担を感じる妊産婦や子育て家庭等の居宅を訪問し、悩みごとの相談及び家事や子育ての支援を行うとともに、養育環境を整えることを目的とした、子育て世帯訪問支援事業を新たに実施いたします。加えて、引き続き児童扶養手当受給世帯及び就学援助世帯を対象に、市内で収穫されたお米を支援品として配布するほか、ひとり親家庭等学習支援事業に参加している中学3年生を対象に、模擬試験受験費用の補助を実施してまいります。
保育につきましては、病児保育に係る保護者の負担額の無償化を継続して実施するとともに、認定こども園への移行を目指す事業者に対して、整備に要する経費の一部を補助してまいります。また、登録児童数が増加傾向である南小学校区において、学童保育所第二わんぱくクラブの増設工事を実施し、保育環境を整備してまいります。
小・中学校の教育に対する支援につきましては、新たな取組として、市立中学校に在籍する生徒に、国語辞典を配布いたします。紙の辞書は言葉を一覧的に網羅できること、関連する言葉についても目に入り、学習することができるなど、辞書を活用したことにより、言葉への興味が高まり、学習意欲向上も期待されます。また、小・中学生のこどもを持つ保護者への経済支援につきましては、家計への負担軽減を図るため、市立小・中学校に在籍する児童生徒が学校で使用するドリル、ワークブック、テストなどの教材費等にかかる費用に対し、新たに一部補助をいたします。また、給食費無償化についても、継続して実施してまいります。学校施設につきましては、引き続きトイレの改修など、計画的に整備してまいります。
互いを認め合い、健康で心豊かに暮らせるまち
つづいて、二つ目のまちづくりの基本方向である、「互いを認め合い、健康で心豊かに暮らせるまち」についてであります。
高齢者福祉につきましては、引き続き、高齢者が住み慣れた地域でいきいきと生活ができるよう、在宅福祉や地域包括支援センターの事業充実を図り、高齢者の社会参加・介護予防に向けた取組、配食・見守り等の生活支援体制の整備、在宅生活を支える医療と介護の連携及び認知症の方に対する支援策等を一体的に推進し、地域包括ケアシステムの発展に努めてまいります。また、高齢者の生活支援充実のため、新たに補聴器の購入費用について補助をいたします。
障害者福祉につきましては、引き続き、各種障害福祉サービスや障害者等相談支援センターによる相談を実施し、障害者及びそのご家族が安心して生活できるよう支援してまいります。また、障害児を養育する保護者の経済的負担を軽減するため、障害児の介護に要する自動車燃料費の補助額の上限を月1,000円から月2,000円に増額するとともに、軽度・中等度難聴児の補聴器購入について、1割負担で利用できるよう、助成額を増額いたします。
健康施策につきましては、引き続き、胎児の健やかな発育や認知症予防等に効果があるとされる葉酸の摂取を促す「葉酸プロジェクト」の推進をはじめ、各種健康づくり事業の更なる展開を図ってまいります。また、生後1か月児を対象とした健康診査を実施するほか、予防接種の取組では、新たにおたふくかぜの予防接種費用の一部を助成いたします。
スポーツ関連施策につきましては、「第2次坂戸市スポーツ推進計画」に基づき、各種施策を推進するほか、坂戸市民総合運動公園の利用者が安全に活動できるよう、大体育室等耐震補強等工事を実施してまいります。
誰もが安心して、安全に暮らせるまち
つづいて、三つ目のまちづくりの基本方向である、「誰もが安心して、安全に暮らせるまち」についてであります。
防災安全対策につきましては、いつ発生するか分からない自然災害に備え、避難所開設訓練等の実践的な防災訓練の実施、災害用備蓄品の更新及び整備を行います。また、防犯につきましても、自主防犯パトロール団体への物資支援及び情報提供を行うとともに、区・自治会に対して防犯カメラの設置費用を補助することにより、防犯対策の強化を支援してまいります。
地域公共交通につきましては、現在策定しております「坂戸市地域公共交通計画」に基づき各種施策を推進し、課題解決に向けて取り組んでまいります。また、市民バスの運行計画を見直し、さらに利便性を高める、新たな市民バスの運行計画を策定してまいります。
自然と都市が調和し、活気あふれる暮らしやすいまち
つづいて、四つ目のまちづくりの基本方向である、「自然と都市が調和し、活気あふれる暮らしやすいまち」についてであります。
環境施策につきましては、「第3次坂戸市環境基本計画」に基づき、地球温暖化対策実行計画の推進を始め、公共施設照明のLED化のほか、省エネ家電購入の補助を行うなど、各種施策を推進してまいります。
商工業振興につきましては、「第2次坂戸市商工業ビジョン」に基づき各種施策を推進し、商工会や商店街等を支援するとともに、坂戸よさこいへの補助金交付や市内事業者がこだわりを持って作った商品、「さかど自慢の逸品」をPRし販売するミニマルシェの実施など、更なる商工業の振興・地域経済の活性化を図ってまいります。
観光振興につきましては、観光ガイドマップの作成や桜まつりを開催するほか、新たに任命した「坂戸ふるさと大使」である声優、ナレーターなどで活躍されている梶裕貴さんとともに、市の魅力発信、イメージアップ及び観光振興に努めてまいります。
農業振興につきましては、引き続き、物価高騰の影響を受けている生産者に対し、種もみや肥料の購入等に際して補助を実施するとともに、水田農業の生産性向上のため、浅羽地区、島田地区において埼玉県等と連携してほ場整備事業に取り組むなど、第2次坂戸市農業振興ビジョンに掲げる各種施策を推進してまいります。
道路整備につきましては、関間千代田線の早期完成に向け、令和5年度から地下水対策工事を実施したことにより再開した、街路築造工事等を鋭意進め、地域の利便性、防災性の向上を図ってまいります。また、市民生活に密着した生活道路及び歩道について順次整備を行い、市民の安全確保に努めてまいります。
都市公園等につきましては、市民が安心して安全に利用できるよう維持管理を行い、また、公園園内灯のLED化を進めていくほか、稲荷久保公園等において、遊具の更新工事を実施してまいります。
住宅環境整備の取組につきましては、親世代が近くにいることで、お互いを支えあい、安心して生活ができることから、引き続き子世代との同居に伴い、住宅の改修等を行う方に対して、経費の一部を補助するとともに、近居に伴い住宅を取得する場合についても、その取得費用の一部を補助してまいります。
都市整備につきましては、坂戸インターチェンジ地区におきまして、民間による産業基盤づくりが本格化するため、必要な支援を行い、地域の発展、雇用の創出に努めてまいります。
北坂戸のまちづくりにつきましては、「坂戸市北坂戸地区まち・くらし再生事業基本計画」に基づき、新たな都市公園の整備に向けて、旧北坂戸小学校の校舎解体工事等に着手いたします。また、溝端公園用地を活用した多世代交流拠点の整備に向けた取組を推進し、都市機能の集約や民間活力の導入による多世代が暮らし続けられるまちづくりの実現に向け、着実に取り組んでまいります。
市民とともにつくる、みんなが輝く誇れるまち
最後に、五つ目のまちづくりの基本方向である、「市民とともにつくる、みんなが輝く誇れるまち」についてであります。
地域交流センターにつきましては、地域課題を地域の様々な団体と協働により解決するための地域拠点を目指し、地域の皆さんとともに課題解決や地域づくりが図られるよう、地域のネットワークづくりに取り組んでまいります。
デジタル技術の活用につきましては、市民サービスの向上を図る観点から、本庁舎における証明書交付等の手数料支払い時の利便性を高めるため、キャッシュレス決済システムを導入します。また、現在運用している内部情報システムと、新たに導入を進める文書管理システム、電子決裁システム等を統合して運用することで、行政事務の効率化とペーパーレス化を推進してまいります。
以上、令和7年度の主な施策の概要等について申し上げましたが、「第7次坂戸市総合計画」における将来像『住みつづけたいまち 子育てしたいまち さかど』の実現に向け、それぞれの分野における各種施策を着実に進めてまいります。こどもから高齢者まで、坂戸市に関わるすべての皆様が安全で安心して暮らすことができる、そして、坂戸市に住んでみたい、住みつづけたいと感じ、自分もこのまちで子育てをしたいと思っていただけるまちづくりに積極的に取り組んでまいります。また、財政運営の健全化を目指し、時代の潮流に取り残されることのないよう、国政の動向を注視し、本市を取り巻く社会経済情勢の変化を意識しながら、未来を見据えた市政運営を積極的に展開してまいりたいと考えております。
議員の皆様方におかれましては、今後とも、健康に十分御留意をいただき、変わらざる御指導と御協力をお願い申し上げ、令和7年度の施政方針といたします。
令和7年2月17日
坂戸市長 石川 清